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篤紀は、その気持ちのまま、
「ありがとう、栗拾い、手伝ってくれて。
嬉しいな、とっても」
途端。
拗ねた表情を浮かべていた三門の頬が、みるみる紅く染まってゆき――耳すらも紅くなってしまった。
まるで、紅葉に同化し、染まってしまったかのようであった。
夕陽に染められたかのようでも、ある。
照れ隠しなのか、三門は勢いのまま、篤紀から顔を逸らした。
「どうしたの?」
篤紀が頬を寄せようとする。
「――どうもしないよ」
三門がとっさに立ち上がった。
彼を好んで寄り添っていた、紅や黄色の儚き木々の欠片達が、彼の動きに逆らうかのように、彼の体から剥がれ、地上へとこぼれていった。
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