AM9:00

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校長室にもお茶を持って行く。ドアを叩いて一言声をかける。 「どうぞ~。」 校長はいつものように反応する。もう直ぐ還暦を迎えるとは想像もつかないほどのしっかりとした体。顔に刻まれた深い皺は俺との経験の差を物語っている。正直見た目は老人には見えないだろう。そう形容することすらはばかれるような若さが校長にはあった。 校長はいつも俺がお茶を持って行く度にニコッと笑って出迎えてくれる。そして数分ほど雑談するのが日課だった。聞くところによると校長は結婚はしているが子どもはいないとのこと。だからか俺を可愛がってくれる。鎌田先生からもそうだが俺はなぜか年上からのウケが良い。 「やぁやぁ前川君、座りたまえ。」 そうやっていつものように会話が始まるはずだったのだ………。あいつが………現れたんだ。
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