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突然校長の後ろに死神が現れた。言葉を失い、表情が消えたのが俺にも分かった。校長もその変化に気付いたらしくジッと俺を見ている。
「ん?前川君、どうかしたかね?」
「え?あぁ、いゃ、なんでもないんです。ほんと……。」
そう言えば死神の姿形は俺以外には見えないんだった。当然声も聞こえないのだろう。
「前川直樹。今の俺は人間どもに死をもたらす仕事をしているんだよ。そんでさ、この爺さん校長だっけ?本名は菅井正道。菅井正道は今日この場で死ぬ。生まれ落ちたその日より定められし事だ。後一分後、死はもたらされる。」
死神の宣告の真意、すぐさま理解できたがそれを本能が拒んでいた。校長が死ぬ?どうしたらいいのだ?
「無駄だよ。生きとし生ける者に死は付きまとう。始まりがあれば終わりがある。物事には全てこの法則が当てはまる。さて、間もなくだ。」
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