粉雪よ、消えないで

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………。 ………………。 「ん………」 カーテンの透き間から差し込む光で目が覚めた。 昨日は雪が降ってたのに、今日は晴れたのか。 しばらくすると念のためにセットしてあった目覚まし時計が鳴りだす。 「うるさい」 そういえば目覚まし時計に頼らずに起きたのは久しぶりな気がする。 自分の部屋を出て、居間に入る。 といっても、この時間になると既に誰もいない。 両親は共働きなうえに早朝出勤なのだ。 「ふぁ~………」 大きくあくびをしながら冷蔵庫の中身をチェック。 とりあえず適当に朝食をとることにした。 …………。 出来上がったのは目玉焼き。 そんなたいした物は作れないし、朝だからこのくらいで調度いいしな。 「うん、我ながら上々の出来だな」 よく作るぶん、変に上達してしまった俺の目玉焼きは、その辺の飲食店に引けをとらないと思う。 白ご飯とさっき作った目玉焼き、あとテキトーに漬け物を添えて完成。 俺はテレビの電源をつけ、いつも見ている朝のニュース番組のチャンネルにあわせた。 「今日は一日中晴れ…か、まぁそう毎日毎日雪も降らないか」 ちょっと残念。 雪が降ると雪は(シャレじゃないぞ?)寒い寒い言って抱き着いてくるから。 なんか下心全開だな、俺。 『続いて、先日起きた脱線事故に関するニュースです』 うわ~…脱線かぁ。 なんか毎年一回はあるよな。わかってるんならもっとキチンと管理すればいいのに。 「………?」 『浅野駅行きの電車の18時21分の便で起きた事故で、事故死した人の名前がわかりました』 あさの……行き? ―――18時21分? 脱線事故? 「そ、そんなわけ………」 脱線したからって、何も乗員が全員死ぬわけじゃない。 「雪………ッ!」
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