暗い小道

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しばらく歩いても、全然知っている風景にならない。 微かな記憶のトンネルも出てこない。 私は戻っているはずなのに、進んでいるような気さえする。 あたりの景色は変わらない。 両脇を暗い森に覆われた、小石の混じる土の小道。 空だけは彩度の低い茜から気色の悪い赤紫になっていた。 早く家に帰らないと。
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