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「ずっと、待っているから」
決意を決めた僕は胸を張って言った。
「楓がこの世に生まれ変わるまで、俺は待っているから。だから、楓も頑張って早く成仏しろよ。そうしないと俺、すぐにおじいちゃんになっちゃうからさ」
と、照れ隠しに言う僕に対し楓は唇を噛み、目を潤ませて頷く。
「うん、わかった。約束だよ。だったら私、さよならは言わない……また逢おうね」
と、それだけを言い残し、楓は後ろ姿を向けて風の音と共に消えていく。
まるで、楓は初めから存在しなかったかのように、僕はぽつんと一人その場に残された。
「ああ。また逢おう」
僕は空へ向けて一言呟くと、そのまま学校を後にした。
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