🌃世界一の美女🌃

煙草を吸うハイエナ

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僕はシャセと偶然的に二人きりになった事がある。

その日は日曜日で、夕飯を三人で一緒に食べる約束をしていた。

ジョニーの家ではシャセが、ハッシュドビーフをコトコト煮込んで待っているとのこと。

僕は定刻よりも五分程早くジョニーの家に着き、シャセはエプロン姿で迎えてくれた。
「ようこそ…、待ってたわよ。」とにこにこしながら彼女は言った。
柔らかくひんやりとした手を差し伸べ招き入れる。

「久しぶり｣と僕は握手した後｢良かったら今夜はこれで乾杯しよう。」と、ドッカッティオの赤ワインを渡す。

「親切にありがとう。」シャセは赤ワインを受け取り、そのまま僕を居間に案内する。

居間にあるテーブルには、プラハで作られたであろう民芸品的なテーブルクロスが敷かれ、中央には花瓶があり黄色いテレクシスが三本添えられていた。
僕はソファーに腰を下ろし、マールボロに火を点ける。

「彼、仕事が急に入ってしまって予定より遅れるそうなの。」と彼女。

「かまわないよ、ジョニーが来るまで待とう。」

シャセは台所に行き、何かしらの料理に関することをした後、クラッシュアイスミントティーを持って来た。

僕らはクラッシュアイスミントティーを飲みながら、ジョニーについての話しをする。

彼の思想と、彼の嗜好品と、彼の兄弟について…、一通り話し終えると僕は勝手にテレビを点ける。
テレビでは、マーレン・ギャング司会の洋画劇場がやっており『アビス』が流れる。
もちろん僕も彼女も『アビス』をこれまでに三度は見ていたと思う。
だが、他に見るものもなかったし、会話をする話題もなかったので、とりあえず見たという感じだ。
そんな事になって僕は気付く、僕は彼女に好感を抱いてはいるが、共通の話題はジョニーと言う存在だけで、それを抜かすと僕らは全くの見ず知らずの他人なのだ。

『アビス』を見終わった後に僕らは林檎を食べる。

シャリシャリと言う音が居間に響いた。

林檎を食べ終え、僕が14本目のタバコに火を点けた時、彼女は唐突に自分自身の、身の上話を聞かせてくれた。

興味深い内容ではあったが、僕には彼女の話しの内容以上に、強く惹きいられるものがあり、まるで話しに集中できなかった。

それは…