🌃世界一の美女🌃

煙草を吸うハイエナ

「一つ質問するよ。｣と僕は言葉を区切り、考えを自分なりにまとめながらゆっくりと話す。
｢君がもしそれを罪悪感と呼ぶなら、それに対し何をするつもりなんだい？」

「抗うわ。私なりのやり方で。」

「具体的に教えてほしい。」

「私も彼らと同じ道へ行くの。同じように転落すれば、ひがむこともないかなってね。」

「ちょっと待ってくれ…。」

電話のベルは今だに鳴り響いている。

「私がやるべき事は償いなの、…一番の幸せの前で自分でそれを下ろす。それがあの惨事を止めれなかった私への罰。」

「ジョニーはどうなる？｣

「大事な人、ずっと一緒にいたいほど…、彼と一緒にいれたらしわくちゃになった姿になっても、愛し合えると思う。」彼女は優しく悲しい笑みを浮かべる。
「だからこそ、その罰に適合する。」

｢適合？、何度でも言うけど、君が抱えているのは罪悪感じゃない、ただの被害妄想だよ。」

「…そうかもしれないわ。」

「絶対にそうさ、…だから今のやり取りも、今までの事も、これからの二人の事に置き換えてくれないか？」

「置き換える？」

「そうさ、君は今までの倍の幸せを手にするべきなんだ。ジョニーと一緒にね。」

彼女は僅かに滲んだ霞みを押さえるかのように何度かまばたきし、
「ありがとう。」
と呟いた。

そこで電話のベルは切れた。

　　　　　　＊　　　

彼女が消えたのは、それから３ヶ月が経った後の事だった。

３ヶ月、それは何かを成し遂げるのにはちょうどいい時間なのかもしれない。

「実を言うと俺は彼女を抱いたことがなかったんだ。」
閉店間際のバーから出た後、僕らは港へ行き缶ビール片手に語り合っていた。

「シャセさんを…か？」と僕。

「そうさ。キスだってしてないさ。」
ジョニーは空き缶を潰し、煙草に火を点ける。
「決めていたんだ。俺は彼女の外見からくる内面に惚れたんじゃなく、内面から来る外見に惚れたことを自身に証明する為に、結婚するまで封印してた。」

「立派な哲学だ。」
僕は缶ビールを一気に飲み干し、新しい缶ビールを空ける。

「だが、結婚せずに彼女は消えてしまった。」

「知ってるよ。」

「…亡骸は、先週見つかった。」

僕はハッとした顔でジョニーの方を振り向いた。
「彼女、死んでたのかい？？」