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◆
「一体何なんだよ!」
赤髪の男
グレン・アルバーグは苛ついていた
後ろから迫る剣の軌跡を避けながら逃げるしかなかったからだ
こちらはほぼ無防備
向こうはどっから取り出したのか1本の剣
当たれば死ぬだろう
(振り向け…)
頭の中に爺さんの声が聞こえる
(逃げるな)
(立ち向かえ)
全速力で避けながら逃げる
「ちっ………」
グレンは振り向く
(思い出せ…我が紅蓮拳は孤高の拳)
足は右を半歩踏み出し構える
手は円を描く様に回す
右手を左から右に上に円を描く様に
左手は右から左に下に円を描く様に
手を構え直す
「行くぞ!」
迎え撃つのは己の恐怖心
左上から右下への剣戟
一歩下がり避ける
ザン
剣は地面を斬りつける
グレンは前に
相手を吹き飛ばすだけで勝負は決まるだろう
ならば相手が突っ込んで来るスピード以上に相手の急所に蹴りを放てば良い
「はぁぁ!!」
相手に遠慮する理由も無ければ意志も無い
ただ自分が生きるために
全身のバネから出た力を全て右足に注ぐ
次の瞬間
蹴りは当たるが
結果はグレンに驚きを与える
蹴りが爆発したのだ
爆発音と共に相手の体を纏っていた服が燃え散り相手は吹き飛んだ
「何で…?」
靴は燃えていない
たが確かに見た
蹴りが当たった瞬間に足が爆発したのを
現に相手の上着が燃えている
「訳分かんねぇ…」
足元の剣に目をやると目が点になった
形は西洋剣みたいな両刃じゃないが
グレンは手に取り振る
(若干引っ張られる感があるな。
材質は……何だ?)
しかし剣は薄くなっていく
(何でだ!?)
そして数秒後には完全に消えた
重ささえ無くなって本当に消えていた
ジャキ
鉄が当たる音が響く
それは拳銃の装填の音に似ている
音がする方向には剣を構えた相手がいた
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