96人が本棚に入れています
本棚に追加
コンコン
老人の背中側から木を叩く音が聞こえる
「誰じゃ…」
老人は静かにそして重く声を出した
すると扉が
ギィ
と音を立て静かに開く
老人は振り向き近くにあった短い杖を持つ
「失礼」
白い上着に黒いズボンに身を包んだ若い男が入ってきた
「なんじゃ…」
冷たささえ覚える深い蒼く染まった目が老人を貫く
「不服があるようじゃな…」
老人は溜め息を吐き出し杖を机に置き椅子に腰掛ける
「失礼ですが…何故グレンを行かせたのですか?お聞かせ下さい」
「グレンと転入して来た者は深い因果を持つ」
「グレンと……」
男は手をあごに持ってきて考える
「転入して来た者の名はライト…ライト・アーガイル」
それを聞いた男は驚くしかなかった
「アーガイル家の者が来たのですか!?」
男は老人に詰め寄る
「ならば何故グレンなのですか!?」
老人は一呼吸置き静かに話す
「今言った通りじゃ…グレンとアーガイル家の者には深い因果があると…」
男はフラフラと下がりながら口を開く
「もしや…グレンで試すのですか…?」
「そうじゃ…アーガイル家の者は咎堕ちに近づいておる…」
「しかし!」
男には分かっていた
そうするしか無いのだと
男は引き下がり扉の目の前に立つ
「私は…グレンを迎えに行きます」
老人は分かっていたかの様に
「ならばアーガイル家の者も頼む」
「ぐっ……」
男は握り拳を作り部屋を出る
そして扉を強く閉めた
「クックッ…あやつもまだまだ若い…グレンとゼロ…そしてアーガイル…駒は揃ったが…」
老人は椅子を回し窓に体を向けた
最初のコメントを投稿しよう!