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ー主人公sideー
その日、私は夜勤明けで疲れた体を引きずるように家路を急いでいた。
「なんだか今日は忙しかったなぁ…。」
独り言のように呟きながら歩いていると、海岸の方から女性の叫び声が聞こえた。
「誰か!、誰か息子を助けて下さいっ。子供が溺れているんです!。」
必死に助けを求める声の方へ急ぐと、確かに子供が溺れていた。
私は医者だけど、救助の為に海へ入れば間違いなく私も一緒に流されてしまう。
どうしたら…と考えていると、1人の男性が海へ飛び込んだ。
その男性はあっという間に子供を陸へと引き上げた。
私はその姿に思わず見とれてしまった。
「いけない。見とれてる場合じゃなかった。」
いつの間にか集まった野次馬をくぐり抜けて、慌てて子供の元へ向かう。
「私、医者です!。お母さん、息子さんから離れて下さいっ。」
私は急いで子供に応急処置をする。
救助が早かったから大したことないみたい。
程なくして、救急車が到着し子供は母親に付き添われて病院に向かった。
「あっ、そうだあの人…。」
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