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ー嶋本sideー
官舎までの道のりを、その日は俺はいつもよりゆっくり歩いとった。
海岸沿いにさしかかった時、その声は聞こえてきたんや。
「誰か!、誰か息子を助けて下さいっ。子供が溺れているんです!。」
必死に叫ぶ声のする方へと急ぐと、母親であろう若い女性が海を見ながらあたふたしとった。
俺はその視線の先に溺れている子供も確認すると、救助に向かった。
2割増の出動に体力はだいぶ落ちとったが、なんとか気力で子供を助け陸へと上がる。
母親らしき人物が駆け寄ってきて騒いでいるが、あかん、さすがに限界や…。
本来なら子供に応急処置をして救急車を呼ぶとこやが、思うように体が動かんかった。
すると、いつの間にか集まった野次馬の中から1人の女性が子供の元へ走ってきよった。
「私、医者です!。お母さん、息子さんから離れて下さいっ。」
そう言って素早く子供に応急処置をすると、救急車を呼んでいた。
数分後救急車が到着すると、その女性は救急隊員に事情を説明し搬送先の病院を指示しとった。
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