きみのために。

１

「別れよう」

　人の、……自分の声が、こんなにも無機質なものに聞こえるものなのかと思うと…いや、こんな風に発せられることに少し驚きながら、こんなときに何を冷静に考えているのかと思えば、自嘲的な笑みが自然と浮かぶ。

　俺に突然、「別れよう」と告げられた相手は……(あまり感情が顔に表れるタイプではないから正確にはわからないけど)少し驚いているのだろうか、"こと"の後でベッドやその周りに脱ぎ散らかした服から自分のものを拾い上げ、１つずつ身につけていた手を止め、俺が寝転ぶベッドへと９０度向き直る。

「どうして？」

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　尋ねるというよりは、責めるような口ぶりに、当然かと思う一方でこんなときまで強気なのかと苦笑う。

「別に。そろそろ潮時なのかなって。ほら、最近お互い忙しくて会う暇もなかっただろ？で、必然的に一人の時間が増えた。でも」

「“寂しくなかった”？」