目覚めの刻

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宇宙世紀0680、6月23日。 新世代型第9番コロニー『アルメニア』。地球ではほとんどの国は地球環境帰化実験により宇宙に移住する形となっていた。しかし、国としての自治権はないため、今では名前だけが残っているだけである。 コロニー内は、非常に環境に優れていた。 地球に近いため、太陽光発電によりエネルギーを供給し、また地球のように太陽光を得ることを可能にしている。雲や雨を作ることも出来る。その為、コロニー単位で各シリンダー毎の天気予報が行われている。これらは、旧来のオニール型から継承された技術である。 木々はより自然に育ち、人々の生活も、より地球上の[それ]と変わりなかった。夜に空を見上げると、上に市街地の灯りを見る以外は……。 この日は雨が降っていた。 森の木々が囲む施設の一室で、ロア・ラスフィーは雨が木々を濡らす光景を見つめていた。 「ここまで地球に似ているなんて……凄いな」 感嘆しながら、椅子に座る。 室内には椅子と机しかない。あとは無表情な壁が囲み、窓と扉が一つあるだけである。 ロアの顔はまだ幼く、声色も少し高い。 ロアが、静寂が支配する部屋で静かに降る雨を眺めていると、不意に扉が開いた。
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