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明治9年1月
私学校に春彦の姿があった。
春彦は時間があれば剣術、鉄砲、乗馬の鍛練を積んでいた。
乗馬はまったくダメだったが剣術、鉄砲の腕はみるみる上達していく。
なぜなら春彦は幼い頃から野太刀自顕流の道場へ通っていたからだ。
日々の鍛練が桐野と同じレベルまで上達していった。
鉄砲の方はシューティングゲームが得意でいつもハイスコアーを出していた。
私学校の連中とも親しくなり、人より優れた軍略を認められ幹部の一人として迎えられている。
その頃、鶴丸城内は慌ただしかった。
なぜなら島津久光が動き出したのである。
久光『まずは政府と天皇家を切り離すのじゃ。公家の近衛家、鷹司家に使者を送れ!』
側近達は忙しく走り回る。
久光『私学校にいる春彦を呼んでまいれ!』
春彦の元に登城の命が下る。
春彦『お呼びでしょうか?』
久光『そちに書状を書いてもらいたい。宛名は大久保一蔵じゃ。』
春彦『大久保一蔵……大久保利道か!』
春彦は久光の命に従い書状を書いた。
書き終わると久光は書状を手にして一言。
久光『大義!』
と言って部屋を出て行った。
春彦は殿様の威厳を肌身に感じながら私学校へ帰って行った。
2日後、鹿児島城下から久光が東京へ向かった。
2000人の兵を引き連れての上京だった。
春彦は久光の手にある書状が自分達の運命を握っている事を知りながら行列を見送った。
列が見えなくなるまで…
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