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森の中に独りぼっちのたんぽぽが住んでいた。
いつもいつも独りぼっち。
誰か来てもたんぽぽの声は届かない。
移動したくても移動できる足がたんぽぽにはない。
何年も何年も森の中で独りぼっちだった。
いつからここにいるんだろう?
気がついたらこの場所にいて、気がついたら独りぼっちだった。
いつもいつも寂しかった。
今日もたんぽぽは独り森の中で空を見上げる。
移動する事の出来ないたんぽぽは空を見上げる事が唯一の楽しみだった。
空は朝と夕方と夜、必ず色を変えて友達のいない独りぼっちのたんぽぽを喜ばせた。
空を見上げていると、ガサッと言う草の音が聞こえた。
たんぽぽは視線を空から森へと戻す。
誰もいるはずのない森に人の気配を感じる。
たんぽぽは辺りを見回す。
するとシクシクと誰かがすすり泣く声が聞こえた。
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