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『たまにはな』
あたしは素直にそのまま火をつけた
『ありがと』
『ん。』
吸い馴れた煙草の煙は
なんの抵抗もなくあたしの肺の中に入ってくる
あなたと同じ香り
この香りで安心するあたしは馬鹿みたいで
こんな事を思ってしまうあたしは
まだガキなんだなって思い知らされる
ふと視線を感じて
運転席に目をやると
悟と目があった
『何か?』
『お前が煙草吸ってる時はさ』
『うん』
『少しだけ大人に見えるよ』
そういって
視線を前に戻す
突然の事で
あたしは
照れて思わずむせる
いつか
いつでもあなたと釣り合えるように見えたらいいのに
やめたくても
やめられない
煙草は
あなたのせい
End,
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