3年間

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  「‥‥茜‥‥‥ごめん‥‥」 そう呟いて、背を向けて歩いて行く彼の背中を見送っていた。 季節は10月 彼氏からの突然の電話で呼び出され、私の家の近くにある、滑り台とブランコしかない小さな公園に呼び出された。 『小春日和だね』 そう話し掛けながらブランコに腰を下ろした瞬間、私の前に立ったままの彼から切り出された突然の別れ話。 理由は分かっている。 悪いのは私の方‥‥‥ 風が吹く度に邪魔な髪を腕にあった輪ゴムで一つに纏めながら、見えなくなるまで大好きだった背中を見つめていた。 「ありがとう啓太‥‥‥バイバイ‥‥」 24歳になったばかりの秋に、私はまた独りになった。  
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