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  果たせなかった約束、 伝えられなかった言葉、 それは全て、たった一人の為のもの。 「救ってみせるから」 と、彼は誓った。 「お前は希望を見付けたんだな…」 と、彼は言った。 「一人にしない」 と、彼は誓った。 「忘れないから」 と、彼は言った。 たった一人の為に、彼らはその言葉を紡ぐ。 二度と戻らないと知りながら──それでも、きっと届くと信じて。 ──その願い、叶えてあげようか?── 嘲笑う悪魔を眺め、彼らは同じ言葉を呟いた。 そして時間は流れる。 時は1811年。 グリム兄弟がブレンターノから童話集出版の話を持ちかけられてから一年後の話。  
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