第一章 王都クロス

4/28
25885人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
「アーシャ、僕はかなり眠い。ほら、足がふらついている」 少年は普通の人間としゃべるように言うと、ふらふらと歩き出す。 まるっきり、怪しい…… それに気づきつつも、白狐は口を開いた。 「マスター。限界なのですか?」 「うん、限界だよ。視界もぼやけてるし、今僕がいる場所がどこなのかもわからない」 わざとらしい…… 白狐は胸中で呟いた。 「マスター。いつから眠っていませんでしたっけ?」 白狐の言葉に、少年はきっぱりと答えた。 「4時間前から」 ……白狐は沈黙した。 「ちなみに、マスター」 「ん?」 「何時間ほど寝てましたか?」 4時間前、活動する前。 「ん……十二時間」 「マスター!」 白狐は叫ぶように言った。 「寝すぎですわ!」 「そうかな」 少年は頬を掻いた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!