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「アーシャ、僕はかなり眠い。ほら、足がふらついている」
少年は普通の人間としゃべるように言うと、ふらふらと歩き出す。
まるっきり、怪しい……
それに気づきつつも、白狐は口を開いた。
「マスター。限界なのですか?」
「うん、限界だよ。視界もぼやけてるし、今僕がいる場所がどこなのかもわからない」
わざとらしい……
白狐は胸中で呟いた。
「マスター。いつから眠っていませんでしたっけ?」
白狐の言葉に、少年はきっぱりと答えた。
「4時間前から」
……白狐は沈黙した。
「ちなみに、マスター」
「ん?」
「何時間ほど寝てましたか?」
4時間前、活動する前。
「ん……十二時間」
「マスター!」
白狐は叫ぶように言った。
「寝すぎですわ!」
「そうかな」
少年は頬を掻いた。
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