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「アーシャ。女の子があげる悲鳴じゃないだろう」
ドブネズミ――通称ドブチューの大群から逃れたイザナは苦笑しながらアーシャを見た。
アーシャはこの世のおわりを覗いた顔でぐったりしている。
「だって、あれは……」
「かわいい奴らじゃん」
「――どこがかわいいのですか!?」
アーシャは叫ぶもの、声は若干小さかった。
「あれは悪夢ですわ。夢にまで見そうです……」
目の前から迫る、ドブチューの大群。
それらの恐怖を思い出してアーシャは身震いした。
「ほら、見てくださいな。鳥肌が」
「いや、毛でまったく見えない」
イサナは首を傾げると、歩き出した。
「しかし……」
と、呟く。
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