第六章 予想外の脅威!そして再会する!?

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イザナにしてはめずらしくやる気の表情になっている。 だが。 「……ドブ……ネズミ……」 アーシャの呟きが、聞こえた。 イザナはまずいと思った。 アーシャの理性がプツン……と途切れたのに気づいたのだ。 「アーシャ!やめ……」 イザナの声を遮るように、下水道が振動した! そしてイザナの目の前に出現する巨大な火の玉。 それが溝の水を一瞬で蒸発させた。水蒸気がまきあがる。 ゴゴッ……と低い唸りをあげ、火の玉は宙を進み、巨大ドブチューと激突する! 巨大ドブチューはあっさりと飲み込まれ、天井を突き破り、いくつもの火の柱がたちのぼった! 「――やりすぎだ!」 イザナは鋭く叱咤すると、べちんと白狐の頭を叩いた。 「う゛ぅ゛ぅ゛…………」 アーシャは低いうなりを発している。 目が淡いルビー色から、灼色(しゃく)に。 全身の毛が逆立ち、白から……金色に。 アーシャは唸り続ける。 ただ巨大ドブチューの出現に驚いた―というわけではない。 紫色の光沢を放つリングに反応したのだ! さきほど具現した火の玉によって【リング】は壊れたかもしれないが、アーシャの興奮はなかなかしずまらなかった。 王都のこんな騒動をおこしたのだ。 城つとめの【正紋章魔術師】が動くことになるばず。 はやいことトンズラするべきか――。 イザナがそう思っていると、 「なんなんですか、この煙は?それに、大きな爆発は?」 水蒸気たちこめる煙の中から、声が聞こえた。
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