25890人が本棚に入れています
本棚に追加
「『ラグナス』の姓に頼るから、僕はダメになるんだ。これから僕は一人になり、アナタを超える力を手に入れる」
「この俺を超えるだと?」
イザナスはクツクツと笑った。
「できるのか?落ちこぼれの貴様に?」
それには答えず、少年は拳を握っただけだった。
――できる。必ずあなたを超える……
言葉では簡単だ。
しかし。どうやって強くなるか。そのあてがない少年は口にできなかった。
「俺は貴様にセンベツをやるほど優しくないぞ」
知っている。そんなことは。父親は実の息子より紋章の王国を愛している……
「わかっている」
「そうか。なら、さっさと出ていくんだな」
……そのつもりである。
「――お兄ちゃん!!」
妹の制止の声を無視して、少年は練習場を飛び出した。
家族と……一族と決別する覚悟をして。
最初のコメントを投稿しよう!