第七章 VSチカゲ!最悪の序曲?

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アルマから逃げるように離れたイザナは再び建物の屋根上にいた。 遠くがうるさい。アーシャの【力】が暴走し、騒がしくなっている。 そんなことなどまったく他人事のように気にせず、イザナは前を見据えていた。 赤い月が地上に降り注ぎ、あらゆる影をうみ落としている。 イザナの前に、一人の女の姿があった。たぶん、女だ。 身体の輪郭でそうわかるだけだ。すべてくろずくめで、目鼻立ちも不明だった。あえていうならなっぺりした顔だ。 手に大きな斧(おの)を持っている。 「あれは……」 アーシャが呟き、イザナは静かに普通の剣を腰から引き抜いた。 冷たい風が吹き抜ける。 イザナは黙ったまま……。 屋根を蹴り、女に向かった。女は斧を振り下ろし、イザナは一気に彼女の懐に入った。 そして、剣をなぐ。上半身と下半身が離れた女は後ろに倒れ、溶けるようにその姿を消した。 「不思議なことも……」 「いや、驚くこともないよ」 イザナは呟くと、あたりにも視線を向けた。
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