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「これは影の紋章魔術師の仕業だな」
イザナを取り囲むように出現する、黒い獣達。
その姿は希薄で、ゆらゆらと揺れていた。
「ある一族だけ扱うことができる紋章。影から次期女王を守る立場にいる家系だったか。王族に敵対する奴らを殺す【スタッパー】だ」
「なら、なぜマスターを?」
不思議に思ってアーシャは首を傾げた。
下水道で会ったアルマ姫はイザナを怨んでいるようには見えなかった。
むしろ……。
「あぁ、それはさ」
イザナは頬をかき、視線を泳がせる。
「マスター?」
「……僕がさっき逃げたことで怒ったのかも」
イザナの言葉に、
アーシャは沈黙する。
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