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「すべてが……マスターのせい……」
アーシャは白い目をイザナに向けた。
この王都での出来事を思い出してみる。
最悪な思い出しかなかった。
「マスターと出会ったことがわたくしの運のつき」
アーシャは天を仰ぎ、なげく。
「まあ、まあ。そう落ち込まなくても」
「誰のせいで――」
アーシャが声をあげる。
と。
声なき咆哮が聞こえた。黒い獣【影獣】(えいじゅう)の一体が、屋根を蹴り、イザナに向かう。
イザナはそちらに身体を向けると、軽くきり伏せた。
さきほどの【女】と同じで絶叫もなく消える。
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