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イザナがチカゲの微笑みに見とれていると、
ぽむ、と白狐に頭を叩かれた。
(マスター、なに雰囲気だしているんですの?)
(だってさ。チカゲのあの顔はきちょうなんだよ。写真は無理だから、心にとめとこうかな、と)
(そんなことは、よろしいですわ。ほら、さっさといきますわよ)
(ほ~い)
イザナは仕方なく立ち上がった。
「じゃあね、チカゲ。またどこかで」
「……逃がさない……と言った……よ」
「うちの相棒がうるさ――」
イザナは建物の影が、揺らいだのに気づいた。
目を細めて、凝視する。
すると。
建物の影から、なにかが出現した。
「あれは……」
イザナはうめくように言った。
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