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☆
頭上に銀色の大きな満月が一つ、浮かんでいる。
この世界には十二個の月が存在し、それぞれの月には『神様』がいると噂があった。
真実なのか。偽りなのか。わからない。
それを調べた者などいなかった。
月は地上からはるか上空に位置し、どんな力をもってもたどりつくことができない。
たとえ。
伝説の魔法でも。
今は失われた力。
☆
紋章の王国。
静かな道を一人の少年は歩いていた。
年の頃は十七くらいか。
黒い瞳と黒い髪。
端正な顔立ちをしているものの、優柔不断そうな雰囲気をしていた。
旅装束姿である。
どこにでもいるような少年。
しかし。
彼には何か浮いているところがあった。
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