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「アナタが寝過ぎだから、私たちは夜中にここにつくはめになったのですわ」
白狐はやれやれと呟くと、あたりを見回した。
王都は静まり返っていた。
すべての店が閉まっている。
「このまま、どうするつもりです?」
あたたかな布団の中で眠りたい……
白狐はそう思っているのだが、
「んー、今日も野宿だな」
「なっ……」
あっさり言われ、白狐は少年の肩からずり落ちそうになった。
「マスター!」
すかさず抗議の声をあげる。
「だんこ拒否いたしますわ!」
言う白狐を、少年は不思議そうに見た。
「なんで?」
「なんでって……昨日も、その前も。ここ半月ほど野宿ばかり」
「うん、そうだね。僕たちはツイてるのかもしれない」
少年は夜空を見上げながら言った。
「僕らが野宿している間。雨降らないし。ほら、アーシャ。今日も月がきれいだよ」
と、満月を指差す。
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