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「アタシは機嫌が悪いの。さっさといなくなってね」
少女が呟くと彼女を襲った魔物の巨体がしずんだ。
っずん……魔物の立ち上がろうともがくが体の半ばまで地面に埋まる。
「アタシの【全結界】には視覚なし」
にっと少女は笑うが魔物の耳には聞こえてなかった。
『おい、いかにも自分が倒したかのように言っているが、実際に【力】を使ったのは我だぞ』
「どっちでも一緒でしょう?アタシ、主人。アナタ、下僕」
『……そんなことを言うと、協力しないぞ』
「う゛っ……」
少女の笑顔がひきつる。
「はは……ごめんねー」
「…………」
頭に手をやっている少女を冷めたように見上げる白蜥蜴。
「ねぇ。これから、どうしようか。アタシの目的、魔物退治じゃなかったはずなのに実際にはこうなったし」
『彼が向かった場所は分かる』
「どうして言ってくれないかな?」
『主に言えば絶対に揉めるからな』
『むー」
「そう膨れるな」
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