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少年の身体が、感電したように震えた。
父親の力をもってすれは軽く黒焦げにできそうだが、それをしなかったのはかなり手加減したからだろう。
少女はおろおろした。
父親は呪文を唱えるのやめ、目を細めて息子を見つめる……
少年は動かなかった。
「つまらん」
父親は冷めたように呟くと、気絶している少年に近寄り、身体を蹴った。
少女は鋭く息を飲んだ。
少年は吹き飛び、壁に激突する。
「はやく起きろ。十秒経ってもそのままだったら殺すぞ」
……無情な言葉。
しかし、父親は平気でそれを口にする。
その証拠に。
息子に向けた腕に浮かび上がっている『雷』の紋章が輝き出している。
紋章魔術師としての証。
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