ぷろろ~ぐ

6/13
前へ
/285ページ
次へ
だが。 少年には紋章魔術師としての『才』はなかった。と、イザナスも、そして一族の者も思っている。 上級紋章魔術師の家系に生まれながら、身体のどこにも紋章がなかった。 紋章の王国に誕生したら誰だって紋章を宿すというのに。 それは紋章の王国に生まれた者にとって『落ちこぼれ』と呼ばれる存在である。 ……神に見捨てられた者。 それだけで、馬鹿にされる。 現に少年も一族の者たちから蔑まれていた。 そして、父親に見向きもされなくなった。 「はやく立て」 バチバチ!……とイザナスの右腕が放電しだす。 父親の腕に『雷』の紋章が浮かんでいる。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25890人が本棚に入れています
本棚に追加