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だが。
少年には紋章魔術師としての『才』はなかった。と、イザナスも、そして一族の者も思っている。
上級紋章魔術師の家系に生まれながら、身体のどこにも紋章がなかった。
紋章の王国に誕生したら誰だって紋章を宿すというのに。
それは紋章の王国に生まれた者にとって『落ちこぼれ』と呼ばれる存在である。
……神に見捨てられた者。
それだけで、馬鹿にされる。
現に少年も一族の者たちから蔑まれていた。
そして、父親に見向きもされなくなった。
「はやく立て」
バチバチ!……とイザナスの右腕が放電しだす。
父親の腕に『雷』の紋章が浮かんでいる。
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