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アーシャがいらついている……。
イザナにはわかっていた。
冷たい床に寝転んだまま。アーシャを眺める。
アーシャはいったり、きたりを繰り返していた。
と思ったら立ち止まり、天井付近を見上げ、なにやらぶつぶつつぶやいている。
ここに閉じ込められて、果たしてどれほど時間が経過したか。
窓ひとつない部屋だ。時間などわからない。
こう長い時間、密閉された場所にいれば気が狂いそうだが、イザナは平然としていた。
イライラしているアーシャを眺めながら思う。
彼女はそろそろ限界だと。
ばち、ばち!……となにもない空間に静電気が走る。
部屋全体が悲鳴をあげている音が聞こえた。
やばいね、これは……。
そう思って、
「アーシャ」
イザナは白狐に声をかけた。
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