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「そ、それが――」
少女はアルマに気づかずに言った。
ここで彼女はアルマに気づけばよかったのだ。
「イザナ殿が」
「――イザナ!?」
イザナの名前にアルマはいち早く反応した。
――やばい…っ!
姉の態度にエルマは不安を覚えるが、少女は構わずに続けた。
「イザナ殿が脱獄しました!」
「なっ……」
エルマは頭を抱えたくなった。
アルマに黙ってイザナを釈放し、はやく王都から出ていってもらおうと考えていたのである。
それが。
あのばかラグナス家当主代理がしぶるから。
「エルマ、これはどいうことですか!?」
「えっと……」
ここは正直に話さないとだめだろう。
嘘を言えば命にかかわる。
だからエルマは正直に口にした。
イザナとの再会から現在のことを。
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