第五章 ついに脱出!しかしすぐに闇の中に。

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少し時間が遡る……。 イザナとアーシャ。一人と一匹は薄暗い通路にいた。 壁にある蝋燭の炎が静かに揺れている……。 「さて……」 イザナは蝋燭の炎を眺めながら、静かに呟いた。 「百物語をはじめようか」 「マスター」 アーシャは冷めたようにイザナを見る。 「何ですか、突然?」 「そういう雰囲気だし、怪談の話をしたくなるのが当たり前だし」 「……今……そんなことをしている場合ですか?」 「僕はこの場を和ませようと」 「そんなことしなくていいですわ!今、ご自分がどういう立場なのか、お分かりですの?」 「……脱獄?」 まるで人事のように聞くイザナ。 首を傾げていた。 瞬間。 アーシャの爪がきらめく。頭を後ろに揺らしたイザナの前髪数本がちぎれた。
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