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少年は立っているのもやっとなのだ。
動くことなど、到底無理だった。
ばしん!……と、少年の耳元で放電現象がおこった。
少年は青ざめた。
「貴様に選択肢があると思うのか」
鋭い視線が少年をいぬく。
あまりの恐怖に少年は両肩を抱いたままへたり込んだ。
「何だ、それは?男がそんなんでどうする?」
……無理だ。
あの殺気のかたまりを受けて、平気でいられるのは。
この紋章の王国では女王補佐(女王様の夫)くらいだろう。
この国は女王が代々治めていた。
「本当につまらん奴だ。これが俺の息子だと」
そう呟くイザナスはすでに興味がないというように、踵(きびす)を返した。
「と、父様!?」
少年は驚いて顔をあげた。
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