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「そう。今、脱獄の途中ですわ。それなのに、なぜのんびりと」
今、イザナ達は脱獄したばかりだった。しかし、牢獄の部屋があった建物の中である。
S級犯罪が収容される場所で、あちこちに魔術封じが施されていた。
漆黒の床と壁、そして天井。ひんやりとした空気がゆくっりと流れている。
「すでにここを取り締まっている紋章魔術師に気づかれているはず。そうそうに逃げないとつかまってしまいますわ」
――すべてマスターのせいですわ。
みたいに言うアーシャを、イザナは半眼で見遣る。
「誰のせいで。気づかれたと思っている?」
「なんのことです?」
しらをきるようにそっぽを向くアーシャ。
イザナはさらに続けた。
「君の【力】のせいだろう」
と、自分たちがきた方向を指差す。
「君が【力】で牢を爆破したから、追われることになっているんだよ」
「………………そうでしたっけ?」
アーシャは口笛などをふいてとぼけようとしている。
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