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「もう少し静かにしてくれればよかったんだよ」
「それは無理というものですわ。そこら中に施されている魔術封じ。うっとうしいから潰すほうが簡単ですもの」
反省の色もない白狐にイザナはため息をした。
「誰に似たんだか」
「それよりマスター……」
イザナのぼやきを無視してアーシャが言ってくる。
「ん?なに?」
「今からどうしますか?」
「僕の荷物を返してもらい、そのままトンズラする」
「逃げ腰、ですか?」
「ここで騒ぎをおこすのはまずいだろう?」
「すでにおそし、ですわ」
イザナにも聞こえた。
近づいてくる複数の足音。
「これは仕方ありませんね」
アーシャはやれやれと呟き、前方を見据える。
その目は爛々に輝いていた。
「さくさくとやっつけましょう」
「平気で物騒なことを言うね、我が姫は」
イザナは呆れたように言った。
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