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エルマである。
「イザナ! あなた、どういうつもり!?」
杖をイザナに向けて、きつく睨んでくる。
「どういうつもり、とは?」
イザナは不思議そうに、首を傾げた。
それにムッ!ときたのか、
「脱獄するなんて!あなたは本当の犯罪になりたいの!?」
「ん……僕もなりたくなかったんだけど。いつまで経っても釈放されないから、それで……」
「だから!わたしが交渉していたんでしょ!」
「エルマ……その交渉するだけ無駄じやなかったか?」
「そ、それは…………」
エルマはしどろもどろになる。
失敗以前の問題だろう。交渉自体、できなかったのだ。
門前払いされたはずだ。
「だったら、自分でどうにかするしかないわけだし」
「だからって……」
エルマは泣きそうな顔でイザナを見る。
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