第五章 ついに脱出!しかしすぐに闇の中に。

7/17

25887人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
「これじゃあ……」 国から脱獄犯をとらえるためにチームが結成されるかもしれない。 エルマはそのことを心配しているのだ。 「ありがとう」 「えっ……?」 エルマは驚いたように顔をあげた。 「僕のことを心配してくれているんだろう?」 「なっ……違っ……」 エルマは顔を赤くしている。 「だったら、僕を見逃してくれないかな」 イザナはにこやかに言った。 「そうすればお互いに傷つけなくていいわけだし」 沈黙……。 静かな夜の中、エルマの呟きが、ゆっくりと広がっていく。 エルマは【炎】の紋章をなぞった。 「――フレアブレイド!」 エルマが握る杖先に、炎の刃が出現した。 エルマは事務的な口調で言う。 「イザナ=ラグナス。あなたを紋章の王国第三皇女の権限によってとらえます。おとなしくするならよし、抵抗するならこの場で始末を……」 イザナはエルマの顔を眺めながら、笑みを深めた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25887人が本棚に入れています
本棚に追加