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屋根の上とは思えないほど素早い動きだ。
イザナとの間合いを一気に詰め、エルマは炎の刃を凪ぐように振った!
ザン!と赤い軌跡が走る!
炎の刃はイザナの喉元を凪ぎ――虚空を切り裂いた。
――避けた!?
エルマはわずかに眉をひそめた。
ふいをついた攻撃だったはずだ。
それを足場が悪い屋根上て距離をとるなんて……。
――なるほど……。
エルマは顔をあげて、別の屋根に移動したイザナを見た。
ここ数年、なにをしていたのかわからないが、戦闘訓練をおこたっていなかったらしい。
――イザナの動きははやい。
でも。
「わたしが捉えられないほどじゃない」
唇を歪め、エルマは呟いた――。
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