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エルマは手をあげる。
「わたしの合図で一斉に攻撃をするわ。最後の忠告です」
姫様然としてエルマは言う。
まっすぐにイザナを見ていた。
「おとなしく投降しなさい!幼なじみのよしみです」
――攻撃をしたくない……。
そう言いたいのだろう。
イザナはエルマを一瞬だけ見て、視線をそらして視界に【あるモノ】をいれた。
そして……。
ニッと笑う。
その表情に、アーシャは不吉な予感を覚えた。
彼があのような悪戯を考えたみたいな顔をするとロクなことにならないことを知っているからだ。
「マスター……なにか……変なこと、考えていません?」
アーシャはイザナが見ているモノに気づいた。
建物と建物の間、その地面に落ちている黒くて丸い影。
―マン…………。
「ううん、考えてないよ」
イザナは笑んだまま答えた。
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