25887人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
下水道が大きく揺れた。
水が流れる溝、大きく水が波打っている。
眼前から近づいてくる、足音。かなりの数いるらしい。
そして、なにかの鳴き声が。聞くモノによってはかわいく思うだろうが。
白狐の全身の毛が逆立った。ぞわぞわとした悪寒が体中を走り抜ける。
下水道を駆けている【それ】にアーシャも気づいた。
「ね、ねず………」
アーシャにしてはめずらしくはっきりと声にならなかった。
アーシャのかわりにイザナは言う。
「あぁ。あれは俗に言うドブネズミだ。略して【ドブチュー】」
冷静に説明するイザナ。
瞬間。
「――うひやぁぁあ!?」
アーシャの絶叫が下水道に響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!