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カコ、カコ、カコ。
親指に携帯電話のキー特有の手応えを感じながら、三桁の数字を押下する。これで、通話ボタンを押せば終わりだ。
そこで、ふとベッドに横たわる少年を見る。すると、それまでにはなかった変化が現れていた。
涙の筋が、目尻から耳の穴に向かって伸びていた。
見てはいけないもの、それも両親の性交渉や兄弟の自慰を目撃してしまったような、居心地の悪い気分に陥った。
ベッドに近づき、少年の肩を揺すってみる。
「おい、聞こえるか? 大丈夫か?」
しかし返事はない。目を覚ましたわけではないらしい。夢でも見ているのだろうか。それとも、何か他の生物学的な理由か。……いや、そんなことを考えている場合ではない。
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