さくら

出会い

生ゴミの臭いが鼻をつく。すぐそこにゴミ袋を放り投げて逃げ出したかったが、アパートの住民の間では、ゴミを出すときは奥から詰めて置くというのが暗黙の了解なので、仕方なく三歩進む。

そこで、俺の目は違和感を捉えた。

そこには、黒のゴミ袋があった。真っ暗だったのでそれまで気付かなかったが、かなり大きい。第一、今時こんな黒の袋でゴミを出しても、ちゃんと分別しているかわからないため収集してもらえないはずだ。

小柄な人間なら入れそうなサイズだな。そんなことを思いながら、その横にゴミを置くために近寄る。

もちろん、まさか本当に小柄な人間が入っているとは思っていなかった。