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――AM10:58。朝ごはんは筒がなく終了。
既に小山内は、楼の部屋を出て何処かに行ってしまった。
別にそれは構わないのだが、来るなら来ると昨日の内に言って欲しかった楼さん。
そしてこうも思う。
(洗い物くらいやってけよ)
期待はしてない。が、その昔一度だけ言ってみたら、華麗にお茶を濁して退散した。別に洗い物は苦にはならないのだが、なんだか納得がいかない。納得しちゃ負けだと思う楼。
それに疲れたか、思わず溜め息が溢れる。朝から何で溜め息吐かなきゃならないんだ。と言わんばかりに、バシャバシャと蛇口の水を流し続けているタライの中の皿を、若干乱暴に掴みガシガシと力強く洗い泡立てる。
楼に朝の挨拶をした後の小山内は、朝ごはんの間ずっと『先程』の事もあってか、そわそわと妙に落ち着かない心境だった。だが楼は、若干神妙な小山内の心の内等に気付く事なく、小山内が軽く安堵していた事を知らない。
小山内は、楼の部屋で食べる朝ごはんも何時もより早々に切上げた。「ごちそうさま、美味しかったよ」と言って足早に部屋を出たのだ。
そんな微妙な小山内の心境など、全く気付きもしない楼さん。関係ないが寝起きの性もあったと思う。
洗い物も終わり、次は何をするんだったかなと思案中。
(えーっとえっと? あとは昨日タイマーセットした洗濯物を干して、――と次は……、)
最早主夫。
それから15分程かけて洗濯物を干した後、楼は脳内保存と言う曖昧な今日のスケジュール帳を開き、中身を確認する。
(えーっと今日の予定は…………、一日中ゴロゴロ。だな、うん)
今日の予定を頭の中でユラユラと立て、ふと何か忘れてないか? という思いに駆られた楼。
そして昨日の“アレ”かな? と思い出すも、何か違う。何かこう大切な、それでいてまぁ今日じゃなくても良い様な、駄目な様な。
(…………?)
思い出せない。
5分間程、何を忘れたか記憶を揺さぶってみる楼。何時かのテレビ番組でほっとくと惚けの進行に繋がる等と、関係のない事を考えてたその時、
「――――あっ、」
思い出した。というよりか、思い出しちゃった楼さん。出来れば記憶喪失並のレベルで忘れても良かったんじゃないか? 等と、思い出した今は、憂鬱になりながらもその事について考える。
(どうしようー?)
悩む楼。
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