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「なあ、今日来るんだろ?」 「ああ、『鋼鉄の荊』のことか?」 俺の同期であるロンとビルが話していた。 「姫様のことか?」 俺は話に加わる。 「そうそう。今日、俺らの稽古を見に来るんだってさ」 俺は田舎出身の下級貴族だから姫様の顔なんて拝んだことがない。 ……噂もあんまり聞いたこともない。 城から本当に遠い田舎だから。 「ロンとビルは姫様の顔見たことあるのか?」 「おお」 ロンは言った。 「美人だぜ。全く表情が変わらないけど」 ビルは言った。 「というか感情があるのかすら定かじゃないぜ。鉄の仮面に鋼の心、荊のようなとげとげしさ。『鋼鉄の荊』っていう異名がピッタリだ」 ロンはそう言い、ハハッと笑った。
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