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「おいカイル」 後ろから急に声をかけられたので驚いて、肩がビクッと上がってしまった。 後ろを向いたらフレッドがいた。 「後ろから声かけただけでそんなに驚くなよ。お前それでも本当に兵士か?」 「お前、気配なく近づくから気付かないんだよ」 俺は言った。 「王女の話か?」 「うん。『鋼鉄の荊』てあの二人は言ってた。有名な異名だよな」 「俺は噂通りの冷酷な人間とは思えないけどな」 「何で?」 「政治をするのが王女に変わってから国が良くなっただろ?」 確かに。 前国王――姫様の父親の政治は最悪だった。 貧しい人から税金を巻き上げたりしていた。 例え農作物が不作だろうとお構いなし。 「前国王は酷かったな……」 「挙げ句の果てに国を捨てたしな」 ――そう。 前国王は国を捨てたのだ。
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