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悪魔というのは、死んでしまった人間の体に寄生させて作られた殺人兵器の事だ。 自らの事を魔王と名乗る者が作り上げた、最悪にして最低の作品。 今や、この世にいる魔物も人間もこの悪魔を恐れながら暮らしている。 悪魔には普通の攻撃が全く効かない為、なす術もなく殺されてしまう。 「悪魔が、私に盾突くなんていい度胸じゃない」 ランデールの凛としたよく通る声が、静かな空間を震わせる。 そんな自分の声に被せるように発された、悪魔達の歓喜の雄叫び。 目標を見つけた事への喜びの叫びに、ランデールとルカは眉を寄せた。 「うるさいわね」 ランデールは言葉と共に、掌から現れた黒い球を悪魔に向けて放つ。 それに触れた瞬間、耳障りな叫びと共に数体の悪魔が消え失せた。 「どうかしら?貴方達の嫌いな闇の力は」 微笑みながら悪魔に問い掛けるが、当たり前だがそれらからの返事はない。 悪魔達は自分の次の攻撃を警戒しているのか、近寄ろうとはしなかった。 「はっ、雑魚が図に乗るんじゃないわよ。私が誰か分かって攻撃してきた訳?」 ランデールの問いに答える者は誰もいなかったが、それは分かっていたから気にしない。 悪魔は見た目は人間だが、知識はほとんど持っていないのだから。 ただ人を殺す為に、魔物を殺す為だけに。これらは作り上げられている。 そんな悪魔を見つめてから、ランデールの顔には小さな笑みが浮かぶ。
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