1612人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
悪魔というのは、死んでしまった人間の体に寄生させて作られた殺人兵器の事だ。
自らの事を魔王と名乗る者が作り上げた、最悪にして最低の作品。
今や、この世にいる魔物も人間もこの悪魔を恐れながら暮らしている。
悪魔には普通の攻撃が全く効かない為、なす術もなく殺されてしまう。
「悪魔が、私に盾突くなんていい度胸じゃない」
ランデールの凛としたよく通る声が、静かな空間を震わせる。
そんな自分の声に被せるように発された、悪魔達の歓喜の雄叫び。
目標を見つけた事への喜びの叫びに、ランデールとルカは眉を寄せた。
「うるさいわね」
ランデールは言葉と共に、掌から現れた黒い球を悪魔に向けて放つ。
それに触れた瞬間、耳障りな叫びと共に数体の悪魔が消え失せた。
「どうかしら?貴方達の嫌いな闇の力は」
微笑みながら悪魔に問い掛けるが、当たり前だがそれらからの返事はない。
悪魔達は自分の次の攻撃を警戒しているのか、近寄ろうとはしなかった。
「はっ、雑魚が図に乗るんじゃないわよ。私が誰か分かって攻撃してきた訳?」
ランデールの問いに答える者は誰もいなかったが、それは分かっていたから気にしない。
悪魔は見た目は人間だが、知識はほとんど持っていないのだから。
ただ人を殺す為に、魔物を殺す為だけに。これらは作り上げられている。
そんな悪魔を見つめてから、ランデールの顔には小さな笑みが浮かぶ。
最初のコメントを投稿しよう!