物語は出会いで始まる訳で

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* 「リリィ・N・レティアよ。趣味は……そうね、狩りかしら。ま、よろしく頼むわ」 私はクラス中がやけに騒つくのにも気付かず、狩りかぁよく出来るなぁ、なんてことをぼんやりと考えた。 赤い髪は高いところでピンクのリボンで二つにくくられ、さらさらと揺れている。 気の強そうな子だが、なかなか可愛らしい。 「……ちょっと。……ちょっと?ねぇ、貴方よ」 リリィさんの言葉に私はハッとして、慌てて立ち上がる。 そう言えば次は私の番だ。 がたた、と椅子が大きな音を立てて、リリィさんがクスリと笑った。恥ずかしい。 「ええと、セラ・A・ルークです。趣味は読書です。よろしくお願いします」 言い終えて、ホッと溜息を吐く。 リリィさんに「ありがとう」と言うと「女みたいな名前ね」と言われた。 シドさんといい、リリィさんといい、私はそんなに男にみえるのだろうか。 .
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